現代において、マッチングアプリは恋人や結婚相手を見つける手段として広く利用されています。
しかし、既婚者がマッチングアプリを利用する場合、離婚問題に発展するリスクがあることをご存知でしょうか。
配偶者によるマッチングアプリの利用が発覚した際、どのような場合に離婚理由となるのか、実際の事例とともに詳しく解説していきます。
マッチングアプリで離婚理由になる?
法的に離婚理由として認められるケース
マッチングアプリの利用が離婚理由として認められるかは、具体的な利用状況によって大きく異なります。民法770条では、裁判上の離婚事由として「配偶者に不貞な行為があったとき」を定めており、法的には「不貞行為」とは配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを指します。
- 単純なアプリ登録や利用だけでは離婚理由にならない
単純にマッチングアプリに登録していたり、メッセージのやり取りをしていたりするだけでは、法的な離婚理由にはなりません。不貞行為を理由に離婚をする場合、自らの意思で配偶者以外と肉体関係を持った場合が必要であり、マッチングアプリに登録しただけで、肉体関係を持っていない場合は、離婚事由にあたりません。
- 離婚が認められる具体的なケース
- 肉体関係を伴う不倫:マッチングアプリで知り合った相手と性的関係を持った場合
- 婚姻関係の破綻:アプリ利用により夫婦の信頼関係が著しく損なわれた場合
- 民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」:セックスレスの状況で配偶者以外の女性と出会うことを目的とした行為をしている場合
協議離婚と裁判離婚の違い
- 協議離婚の場合
協議離婚では、双方の合意があればどのような理由でも離婚が可能です。財産分与や親権などについても話し合いが必要ですが、合意が得られればスムーズに手続きが進みます。 - 裁判離婚の場合
一方が離婚に反対している場合は協議離婚は成立せず、調停離婚や裁判離婚に進むことになります。裁判では、不貞行為やDVなど法定離婚事由が必要となります。
証拠の重要性
不貞を理由に離婚をする場合、法的には「不貞行為の証拠」が求められます。単なるメッセージのやり取りやデートだけでは証拠として不十分であり、ラブホテルの利用履歴、写真・動画、探偵の調査報告書、相手との具体的な会話の記録などが必要となります。
マッチングアプリが離婚理由になった事例
実際にマッチングアプリの利用が原因で離婚に至ったケースを、3つの事例をもとに紹介します。
事例①:マッチングアプリ不倫による慰謝料請求ケース
事例の概要
30代の既婚男性が「既婚者専用」を謳う出会い系アプリに登録し、女性との不倫関係に発展したケースです。3歳の双子の育児に追われる日々で、妻との会話も減り、徐々に心が離れていったことが利用のきっかけでした。
発覚の経緯
発覚のきっかけは、相手の夫が家族で使用するタブレットに残っていたアプリの通知履歴でした。夫がアプリの存在に気づき内容を確認し、依頼者とのメッセージのやりとりが見つかり、不倫が発覚しました。
解決結果
最初に相手の夫から慰謝料250万円を請求されましたが、最終的に慰謝料120万円での示談が成立し、アプリ内の全データを削除することで合意しました。なお、相手は今回の件では離婚せず婚姻関係を修復することになりました。
事例②:独身と偽った書類偽造事件
事例の概要
48歳の会社員男性が、マッチングアプリで知り合った女性に対し、既婚でありながら独身であると偽るため、裁判所の書類を偽造した事件です。
犯行の詳細
被告は独身を偽って女性と交際し、婚姻届が不受理となったことを問い詰められた際、「戸籍から婚姻情報を削除する」などと書かれた裁判所の文書を偽造しました。
判決結果
京都地裁は懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。量刑の理由として「独身と偽り交際するため、嘘をつくために犯行に及んだことは、甚だ安直」とした一方で、「慰謝料を支払う意向を示すなど、反省の姿勢を示している」ことから執行猶予付きの判決となりました。
事例③:短期間結婚からの離婚ケース
事例の概要
マッチングアプリで知り合い、実際に会ってすぐに交際を開始し、約2か月の交際期間で結婚したケースです。結婚後すぐに自宅を購入しましたが、交際期間が短いため、パートナーの本当の性格を知ることができていませんでした。
問題の発覚
実際に結婚してみたら、交際期間では見えなかった夫の真の性格が見えてしまいました。その夫は、いわゆる「DV夫」で、酒癖が悪く、お酒を飲むと暴力を振るったり、暴言を吐いたりする人物でした。
解決結果
結婚してからわずか1か月で別居することとなり、「離婚したい」ということで弁護士に相談。話し合いではうまく合意できず、家庭裁判所に調停を申し立て、調停は4回、ようやく離婚を成立させることができました。
既婚者でも使えるマッチングアプリ
既婚者向けのマッチングアプリが近年注目を集めており、セカンドパートナー探しや婚外恋愛目的で利用される方が増えています。ここでは、既婚者の利用が可能な主要なアプリを3つ紹介します。
①Tinder
既婚者の利用について
Tinderは利用規約上、既婚者の利用を明確に禁止していません。Tinderの利用資格に関する規約では、18歳以上であることや、性犯罪等の有罪判決を受けていないことなどが条件として挙げられていますが、既婚であることを理由とした利用制限はありません。
利用上の特徴
Tinderは「友達作りのアプリ」という側面もあるため、既婚者でも利用できるようになっています。ただし、一般的なマッチングアプリでは「恋人のいない独身者」のみ利用可能となっているのに対し、Tinderは既婚者向けアプリではないため、注意が必要です。
身バレ防止機能
- 「連絡先ブロック機能」があり、電話帳登録者をブロックして相手の画面に自身のプロフィールを表示させないことが可能
- 「ディスカバリー機能」をOFFにすることで、検索画面に自身のプロフィールを表示させない設定ができる
【R-18】18歳未満の方はご利用いただけません
②ヒールメイト(Healmate)
サービスの特徴
ヒールメイト(Healmate)は既婚者専用マッチングアプリとして、真面目で上質な出会いを求める方のためのサービスです。登録は無料で、匿名性を重視しているので身バレの心配がありません。
- 女性の利用率が高い
- 写真ぼかし機能があるため安心
- 90秒に1人がマッチングするという高い成功率
サービスの位置づけ
ヒールメイトの運営会社は「不倫を助長する目的はない」と明言しており、既婚者が安心できる出会いの場を提供した上で、その先は出会った2人次第としています。実際にアプリを通じて友達として健全に付き合う既婚者も多いとされています。
③カドル(Cuddle)
サービス概要
カドル(Cuddle)は結婚後も新たな出会いを応援する、既婚者マッチングアプリです。既婚者という同じ立場だからこそ、お互いを理解し合える関係を築けることが特徴です。
- 最先端のAIマッチングシステムを採用
- 刺激を求める既婚者が多く利用
- 既婚者マッチングアプリ利用率No.1の実績(2025年調査)
多様なニーズに応えるサービスとして密かに盛り上がりを見せています。既婚者限定のマッチングアプリは、お互いが納得した上で出会えるため安心で、セカンドパートナーが欲しい人や既婚者特有の悩みや孤独感を分かち合いたい人に向いています。
これらのアプリを利用する際は、家庭を壊さないスタンスを大切にし、利用目的を明確にした上で責任ある行動を取ることが重要です。また、身バレ防止機能を活用し、リスク管理を徹底することが求められます。
まとめ
マッチングアプリの利用が離婚理由になるかどうかは、利用の程度と内容によって大きく異なります。単純なアプリ登録やメッセージのやり取りだけでは法的な離婚理由にはなりませんが、配偶者以外との肉体関係が伴う場合は不貞行為として離婚理由となり得ます。
- 法的に離婚が認められるためには「不貞行為の証拠」が不可欠。ラブホテルの利用履歴、写真・動画、探偵の調査報告書などの確実な証拠を集めることが大切。
- 協議離婚なら合意さえあればどんな理由でも離婚可能、裁判離婚では民法770条に定められた法定離婚事由が必要。
- 慰謝料の相場は不倫や浮気の場合、一般的に100万円から300万円程度であり、婚姻期間や精神的被害、不倫の内容によって増減する。
既婚者向けのマッチングアプリも存在しており、Tinder、ヒールメイト、カドルなどが代表的なサービスです。これらのアプリを利用する際には、身バレ防止機能を活用し、家庭を壊さないスタンスを保つことが重要となります。
マッチングアプリの利用を検討する際は、これらのリスクを十分に理解し、配偶者との関係や家庭への影響を慎重に考慮した上で判断することが大切です。
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