近年、マッチングアプリの普及とともに、新たなトラブルとして「食い逃げ被害」が深刻化しています。
デート中に相手が「トイレに行く」と言って席を立ったまま戻らず、一人で飲食代を負担させられる被害が続出しており、被害者の多くが金銭的損失だけでなく、精神的なショックを受けているのが現状です。
食い逃げ被害の多くは数千円から数万円程度の少額ですが、問題なのは立件の困難さです。
警察への相談に対しても「最初から逃げるつもりだった」という立証が困難で、民事上の問題として処理されるケースが大半を占めています。
マッチングアプリの食い逃げ被害の実態
男性が被害にあったケース
男性が被害に遭うケースでは、主に「飯モク(ごはん目的)」の女性による被害が報告されています。相手の女性が最初から食事を無料で楽しむ目的でマッチングアプリを利用し、食事後に「お化粧直しをしてくる」などの理由で席を立ったまま戻らないパターンが典型的です。
30代男性の事例では、マッチングアプリで知り合った20代後半の女性と焼き肉デートをした際、女性が多くの注文をした後にトイレに行ったきり戻らず、結果的に男性が全額を支払うことになりました。被害額は2~3万円程度で、お酒や高額な肉料理が含まれていたとのことです。
特に男性の場合、デート代を負担することが当然視されがちな社会的背景もあり、食い逃げの被害に遭いやすい傾向があります。また、女性から積極的にアプローチを受けた場合、警戒心が薄れることも被害拡大の要因として指摘されています。
女性が被害にあったケース
女性の被害ケースでは、男性が食事を楽しんだ後に突然姿を消すパターンが多く報告されています。25歳女性の事例では、マッチングアプリで知り合った男性と居酒屋で食事中、相手が「トイレに行く」と言って30分以上戻らず、店員に確認したところ既に店を出ていたことが判明し、約5,000円の飲食代を一人で支払うことになりました。
俳優の遠野なぎこさんも同様の被害に遭い、20歳年下の男性とマッチングアプリで知り合い食事をした際、会計をしている数十秒の間に相手が姿を消したと証言しています。「常習犯だと思う」「40秒の話じゃない。カードで払っている瞬間」という発言からも、計画的な犯行である可能性が示唆されています。
女性の場合、男性よりも警戒心が高い傾向にありますが、デート中の雰囲気や相手への配慮から、食い逃げの兆候に気づいても対処が遅れるケースが見られます。また、女性被害者の中には「自分にも非があったのではないか」と自責の念を抱く方も多く、泣き寝入りするケースが少なくありません。
マッチングアプリの食い逃げ被害で警察は動く?
マッチングアプリでの食い逃げ被害に対する警察の対応は、現実的には非常に限定的です。食い逃げは法的には詐欺罪に該当する可能性がありますが、立件のハードルが極めて高いのが実情です。
詐欺罪が成立するためには、
- 被疑者が被害者を欺罔し、
- 被害者が錯誤に陥り、
- 被害者が自らの意思で財物を交付し、
- これらの間に因果関係がある
ことが必要です。しかし、食い逃げの場合、「最初から代金を支払う意思がなかった」ことを立証するのが困難で、多くのケースで詐欺罪の成立要件を満たさないとされています。
特に問題となるのが、注文時点では支払い意思があったが、食事中に気が変わって逃げた場合です。この場合、注文行為自体は欺罔行為に当たらないため、詐欺罪は成立しないと判断されます。ただし、会計時に「財布を取りに戻る」などと嘘をついて店を出た場合は、2項詐欺として立件される可能性があります。
警察への相談は可能ですが、「被害額が少額であることや、アプリ上で相手の身元が特定できない場合も多く」、実際の捜査に至るケースは極めて稀です。一般市民による食い逃げ被害の訴えに対しては、警察が積極的に対応する可能性は低いとの指摘もあります。
弁護士による法的対応も選択肢の一つですが、被害額に対して弁護士費用が見合わない場合が多く、現実的な解決策としては限界があります。
マッチングアプリの食い逃げ被害の回避対策
食い逃げ被害を防ぐためには、事前の準備と当日の注意が重要です。以下、効果的な対策を3つの段階で説明します。
対策①:相手の見極めと事前コミュニケーション
最も重要な対策は、最初から食い逃げをしなさそうな相手を選ぶことです。真剣に恋人を探している人は、面倒なメッセージのやりとりを重視する傾向があるため、最低でも1~2週間はメッセージ交換を続けてから会うようにしましょう。
飯モク目的の人は「できるだけ早く会って食事にありつきたい」と考えるため、マッチング直後に「すぐに会いましょう」と提案してくる相手は要注意です。メッセージでのやりとりが長続きしない、具体的な将来の話や価値観について語りたがらない相手は避けるべきでしょう。
相手の真剣度を測るポイントとして、
- 返信の一貫性
- 質問の内容
- プロフィールの充実度
などをチェックすることが重要です。また、真剣な恋活・婚活向けのマッチングアプリを選ぶことで、食い逃げ目的の利用者との遭遇リスクを下げることができます。
対策②:安全な店舗選びと席の配置
デートする店舗の選択も重要な対策の一つです。出入り口が見える席を選び、できるだけ小さめの店を選ぶことで、相手の動きを把握しやすくなります。
トイレが店外にある店は避けるべきです。「トイレに行く」と言って店を出たまま戻らないケースが多いため、トイレが店内にある店を選ぶことで、最低限相手が店を出る様子を確認できます。
カウンター席の利用も効果的な対策です。相手が立ち上がればすぐにわかり、店員との距離も近いため、何かあった際にすぐに相談できます。個室や奥座敷などの人目につきにくい場所は避け、人通りの多い明るい場所での食事を心がけることが重要です。
対策③:支払い方法の工夫と当日の注意点
会計前に相手が席を離れることを防ぐための工夫も重要です。食い逃げを企図している人は、会計直前のタイミングで席を立つ傾向があるため、会計時には相手を席から離れさせないよう注意を払いましょう。
靴をロッカーに預ける座敷タイプの店を選び、「忘れそうだからまとめてここに置いておこう」と相手の靴の鍵も自分の近くに置くことで、相手が簡単に退店できない状況を作ることも有効です。
初回のデートでは高額な店は避け、カフェや手頃な価格のレストランを選ぶことで、万が一の被害額を最小限に抑えることができます。また、事前に友人にデートの場所と時間を伝えておくことで、万が一の際の安全確保にもつながります。
マッチングアプリにいる食い逃げ被害にあった時の対処法
対処法①:証拠の確保と現場での対応
食い逃げ被害に遭った場合、まず重要なのは証拠の確保です。相手とのメッセージのやりとり(LINEやアプリ内チャット)のスクリーンショットを保存し、相手のプロフィール情報(写真、ユーザー名、やりとりの履歴など)も記録しておきましょう。
現場では、すぐに店舗スタッフに事情を説明し、協力を求めることが重要です。店舗の防犯カメラ映像が証拠になる場合もあるため、スタッフに確認してもらいましょう。デート時の写真や店舗のレシート、領収書も重要な証拠となります。
相手の身元特定に役立つ情報として、会話の中で出た職場や住所、趣味などの具体的な情報もメモしておくことが推奨されます。また、食い逃げの一部始終を時系列で記録しておくことで、後の対応に役立ちます。
対処法②:アプリ運営会社への通報と警察相談
証拠を揃えた上で、マッチングアプリの運営会社に通報することが重要です。アプリ内の「通報機能」やカスタマーサポートを利用し、被害内容を詳細に報告しましょう。相手をブロックする前に必ず通報を済ませることが重要です。ブロック後は通報できなくなる場合があります。
被害額が大きい場合や明らかな詐欺行為だと判断できる場合は、警察に通報・相談することも検討しましょう。証拠を持参し、被害届や相談記録を残すことが重要です。警察の対応が消極的でも、証拠が揃っていれば捜査対象となる可能性があります。
ただし、前述の通り、警察が積極的に対応する可能性は低いのが現実です。それでも公的記録として残すことで、同様の被害が複数報告された場合の捜査につながる可能性があります。
対処法③:専門機関への相談と心のケア
被害が大きい場合や今後の対応に不安がある場合は、弁護士や消費生活センター(電話番号:188)などの専門機関に相談することを検討しましょう。特にデート商法や結婚詐欺の疑いがある場合は、法的対応が有効な場合があります。
被害体験によるストレスや不安を感じた場合は、信頼できる友人やカウンセラーに相談し、心のケアも大切にしてください。「自分が悪いのではないか」と自責の念を抱く被害者も多いですが、食い逃げは明らかに加害者側の問題であり、被害者に責任はありません。
法テラスでは、経済的にお困りの方向けに無料の法律相談を提供しており、マッチングアプリや出会い系のトラブルについても相談可能です。また、第二東京弁護士会では、インターネットトラブル専門の法律相談(30分5,500円)を実施しています。
安心安全に出会えるおすすめマッチングアプリ
食い逃げ被害を避けるためには、安全性の高いマッチングアプリを選ぶことが重要です。以下、特に安全対策が充実したアプリを3つ紹介します。
①Pairs(ペアーズ)
Pairs(ペアーズ)は、累計会員数2,000万人を超える国内最大級のマッチングアプリです。安全性において最も高い評価を受けており、以下の特徴があります。
- 24時間365日の監視体制と本人確認(2段階)を実施
- 身分証明書による年齢確認に加え、顔認証機能での本人確認
- 外部機関の認証と、セーフティーセンターやカスタマーサポートの充実
- eKYC(オンライン本人認証システム)の導入により、なりすまし防止
- 運営会社のエウレカは大手国内企業で信頼性が高い
招待コード:re3gSkT
【R-18】18歳未満の方はご利用いただけません
②Omiai(オミアイ)
Omiai(オミアイ)は、真剣な恋活・婚活を目的とする会員が多いマッチングアプリです。累計会員数約1,000万人を誇り、以下の安全対策を実施しています。
- 本人確認と「イエローカード」制度で不適切ユーザーを警告
- 24時間365日監視体制・ビデオ通話・通報機能も完備
- 外部機関の認証、eKYCによるなりすまし防止
- 真剣な利用者が中心なので悪質ユーザーが少ない傾向
【R-18】18歳未満の方はご利用いただけません
③ゼクシィ縁結び
ゼクシィ縁結びはリクルートが運営する婚活特化型のマッチングアプリです。男女ともに有料制で、真剣度が高い会員が集まるため、次の安心要素が特徴です。
- コンシェルジュによる初デート調整サービスで安全度アップ
- 本人確認や各種証明書提出が必要
- 24時間監視・ビデオ通話機能も完備
- 男女同額の月額有料制で軽い気持ちや悪質目的の会員がほぼいない
【R-18】18歳未満の方はご利用いただけません
まとめ
マッチングアプリでの食い逃げ被害は、デジタル時代の新たな社会問題として深刻化しています。被害の実態を見ると、男女問わず数千円から数万円の金銭的損失に加え、信頼を裏切られた精神的ショックが大きな問題となっています。
警察による対応は現実的に期待しにくく、詐欺罪としての立件も困難であるため、被害者自身による予防策の実施が極めて重要です。事前の相手の見極め、安全な店舗選び、当日の注意深い行動が被害防止の鍵となります。
万が一被害に遭った場合は、証拠保全、アプリ運営会社への通報、必要に応じた専門機関への相談が重要です。また、心のケアも忘れずに行い、自分を責めることなく適切な対処を心がけましょう。
最も効果的な対策は、安全性の高いマッチングアプリを選ぶことです。Pairs、Omiai、ゼクシィ縁結びのような、本人確認制度が充実し、真剣度の高いユーザーが集まるアプリを利用することで、食い逃げ被害のリスクを大幅に軽減できます。
マッチングアプリは適切に利用すれば素晴らしい出会いの機会を提供してくれます。正しい知識と対策を身につけて、安全で充実した恋活・婚活を実現していきましょう。
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